実験の合間に見ていた動画配信&twitter の TL より。
まずは自分の立場を示しておく。
基礎化学系の大学院博士課程 1 年。先日 DC2 不採用確定。
いわゆる研究者の卵。若手育成の範疇にある。
まずは仕分けの結論だが、13 日の WG3 で対象とされた案件はすべてが縮減あるいは廃止という結論となった。
全体を通して。
説明側の文科省の役人も仕分け人側も、どちらも「現場」を知らないままで話を進めていて、呆れたというのが正直なところ。
そんな場で日本の科学技術の将来に関する話し合いがされるのはね。
そしてどちらも致命的なまでに準備不足。毛利さんを除けば意見がかみ合わずまともな議論ができていなかった。
研究に携わる人たちがそういうアピールをしてこなかったというのはあるけれど、ここまで認識の差が大きいということに愕然とした。
これからは研究者サイドがもっと情報を発信していかなければいけないのだろう。
各論は突っ込みだすときりがない&自分が冷静でいられる自信がないのでマクロな視点から。
「納税者がトップレベル研究者にお金を払った分、納税者個人にもリターンをもらえないと納得できません!」
これは仕分け人の蓮舫議員の言。自分としては趣旨そのものを否定するつもりはない。リターンを金銭的なものに限らないという条件付だけど。
研究、特に基礎研究は、すぐに目に見える形でのリターンは期待できない。10 年後、20 年後に何かのベースとして実用化されていれば儲けもの。
人類の知にひっそりと 1 ページを付け加えるだけ、というものが多いのも事実。だけど、これでもリターンとしては十二分だと思う。
もともとアカデミックでの基礎研究というのはそういうもので、応用を考えている人のためのライブラリの構築こそが本質と言えるだろう。
しかし、短期的なリターンだけ、採算性だけを求められると、こういう土台となるべき基礎研究はほぼ確実に崩壊してしまう。
今回対象とされた理研のスパコンや SPring-8、バイオリソースなどは多くの研究者にとって欠かせないツールであるし、科研費、競争資金、若手育成、理系教育は、現役の研究者および次代の研究者の卵にとっては必要不可欠である。
特に若手育成、理系教育は、世代の連続性を確保する上では欠かせないと考える。
いわゆる「理科離れ」の問題は理系領域への人の流入を弱めてしまうし、仮に高校での中等教育を無償化したとしても、その上にあるべき大学、大学院での教育、研究がボロボロになっていては、誰も科学技術の道へ進もうとはしないだろう。
資源のない日本にとっては、科学技術と人材こそが発展の鍵ではないだろうか。
今回の仕分けがそのまま通ってしまえば、その柱が崩れてしまう。
博士課程に進んだのは自分の意思だし、いまさらそれを否定するつもりもないが、現状では後輩に同じ道を勧めることは到底出来そうにない。相談されたら否定的な態度をとるつもりだ。勧めるとしても日本ではなく海外。かく言う自分が博士修了後に海外へ行くことを考え始めているのだから。
日本という国は嫌いではないが、日本という国で研究を続けることはできなくなってしまうのか。それがなんともやりきれない。
今回の仕分けでは、会場からのリアルタイムでの動画配信や、twitter 上での議論など、これまであまり見られなかった形で情報がやり取りされていた。
また、仕分け後には、まとめサイトが立ち上げられている。
こういう形で、今までお世辞にも機能していたとはいえない研究者間のコミュニティが構築されようとしていることには期待したいと思う。もちろん自分もその一員となるつもりだ。