福の神

ついに人類は電波を用いて地球外生命体とのコンタクトに成功した。そして、お互いに会ったことはないものの友好条約締結までこぎつけた。

「それではこれで友好条約締結ですね!実は、地球では食料が不足して困っているのです。力を貸してもらえませんか」
「ほお、我々の星と同じような悩みを抱えているのだな。それでは君たちにプレゼントをあげよう」
「本当ですか?で、それはどのようなものなのですか」
「我々の科学の最高傑作、食料生産装置さ。我々は福の神と呼んでいるがね」
「有り難うございます!これで地球は救われます!」
「なに、大したことないさ。今から設計図を送信するぞ」
…………
「受信しました。随分複雑で巨大な装置ですね」
「それが我々から君たちへのプレゼントさ。かなり複雑だが、一度作ってしまえばたとえ核融合兵器の直撃を受けても壊れずに永遠に食料を生み出し続ける。というか止める方法は存在しないんだ。これで君たちの悩みも解決だろう。そして君たちと我々は繁栄を続けるのさ」

そう自信に満ちてマイクに話しかけながらセミコンダクタ星外務大臣はふと外に目をやった。そこには広大な大地が広がり、点々と光るものが散らばっていた。それこそ食料生産装置「福の神」で、センサーによって炭素・酸素・鉄を豊富に含んだ物質を探知すると取り込み、核反応によって主人の体の9割を占める硅素や砒素、ゲルマニウムを生み出しながら移動を繰り返すのだった。これは水中でも活動できるし、目標物の周りの障害物を破壊するためのレーザー砲も付いている。ちゃんと説明した方がいいかな?彼はちらりとそう思ったが、説明するのが面倒だったので詳細には触れなかった。

一方地球では国連主導で装置の製作を進めた。地球の科学の威信を賭けたこのプロジェクトのために各国の最高の科学者が集められ、技術と資源の全てがこの装置に注がれた。そして一ヶ月後、世界中の人々がお茶の間のテレビで見守る中、人類の希望を一身に背負った福の神は最後のパーツが取り付けられると同時に猛然と仕事を開始した。人々の悲鳴や断末魔の叫びと共に……。

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