宇宙時代の幕開け?

はぁ……。全くいつになったら見つかるんだ? 出発してからかれこれ10年になるけど、まだそれらしい気配は全然ない。NASAに採用されてから厳しい訓練に耐えてようやくこの任務を受けたというのに、このままでは任務を全うする前に遭難してしまう。本当に地球以外に生命の存在する星なんてあるのだろうか。ここ何年かずっと不安と戦う日々を送っている。

……そういえば、最初からどうも怪しい話だったんだよなぁ。たしかに俺は日本の研究所ではトップクラスだったけど宇宙空間での研究は皆無だった。そんな俺が地球外生命体調査隊の隊長に命じられたんだもんな。あまりやる気はなかったけどNASAに行ってみると最新鋭の宇宙船が準備してあるし、最高のクルーも揃っている。これで嫌な顔をする奴はいない!って感じだったね。しかも成功すれば世界最高の研究所に所属できるという。その代わりに見つけるまでは絶対に帰ってくるなと言われてたけど、まさか10年経っても見つからないとは……口車に乗せられたかな……早く帰りたいよ、ホント。

お?この反応は……やった!ついに生命のいる惑星を発見したぞ!

『これから着陸態勢にはいる。着陸担当官、直ちに準備せよ。……おい、着陸担当官!どうした返事をしろ!』
「報告します。マニュアルにミスがあって着陸装置を動かせません!」
『何だと!?何とかならないか?』
「無理です。正しいマニュアルがないとどうにもなりません。」
『そうだな、しかたない。ここまで来て残念だが地球に引き返すしかあるまい。総員に告ぐ、本船はただ今より地球に帰還する。至急準備にとりかか……

「隊長!大変です!操縦士が発狂しました!このままではあの星に向かって突っ込んでしまいます!」
 なんてこった!操縦士以外には誰もこの宇宙船を操縦することはできない。もうあの星へ墜落するのは避けられそうにない。任務失敗だ……

『……メーデー、メーデー……完全無人宇宙船TAITECHからNASAコントロールセンターへ……緊急事態発生……着陸及び操縦システムに異常発生。本船はまもなく生命の存在が確認される惑星へ墜落します……プツッ』
「何だと?その星はどこだ?答えろ!メインコンピュータSG2001!」
『ザー…………』

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