エンドレス・ゲーム
「はい、次の人どうぞ。お名前は?」
「山本晃だ」
「えーっと、山本晃さんですね。少々お待ち下さい。あなたはミッションを済ませていませんね。残念ですがゴールはできません」
「どういうことだ?ミッションって何のことだ?」
「おっと失礼。あなた方はミッションのことを何も覚えていらっしゃらないのでしたね。あなた方にはゲームを始めるときにあるミッションが与えられています。でもスタートと同時にプレーヤーはこれの存在を完全に忘れてしまう。そのくせこれをゲーム中に偶然に解決していないとたとえここに辿り着いたとしてもゴールすることはできない。これがこのゲームのルールです。今のあなたの選択肢は二つ。ギブアップかリトライかです」
「何だと。俺は長い時間かけてようやくここまで来たんだぞ。何で今になってそんなことを……。そもそも俺のミッションは何なんだ?」
「それはルールにより言うわけにはいきません。ただあなたのは随分難しいものですね。今までにこのミッションをクリアしたプレーヤーはいませんよ」
「わかったよ、ちょっと考えさせてくれ。……おい、ギブアップってことはあの地獄の世界に追放されるってことだよな」
「当たり前じゃありませんか。あそこの恐ろしさは私も耳にしていますよ。だからギブアップするプレーヤーはほとんどいません。悪質なプレーヤーだと強制的にリタイヤさせてあそこに追放することもありますけどね」
「そうか。……リトライするとしてもミッションは変わらないのか?」
「もちろんです。同じものをやっていただきます」
「…………」
「山本さん、そろそろ決断を」
「……リトライだ」
「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー!」
「わかりました。それではあなたのミッションをお教えしましょう。もっともまた忘れてしまいますがね。『世界平和の実現』です」
「世界平和の実現?はぁ……どうやら俺は永遠にリトライを繰り返さなきゃいけないみたいだな」
「そうかもしれませんね。ではこちらへ。お好きな肉体をお選び下さい。これでよろしいですね。それではゲーム『人生』を開始します。ゴールの極楽浄土めざして頑張って下さい!」